2026.06.08
「気をつけます」では解決しない―根本課題解決に必要な視点とは―
職場で問題が発生したとき、どのように原因を考えているでしょうか。
ミスが起きた。
納期に遅れた。
クレームが発生した。
こうした場面でよく聞かれるのが、
「確認不足でした」
「認識が甘かったです」
「今後は気をつけます」
という言葉です。
もちろん、本人に反省があることは大切です。
しかし、少し意地悪な言い方をすると、「気をつけます」で解決するのであれば、世の中からミスはなくなっているはずです。
それでも同じような問題が繰り返されるのはなぜでしょうか。
理由は単純です。
問題の原因を、人の注意力や意識に求めているからです。
■ なぜなぜ分析が失敗する理由
課題解決の研修などで、「なぜを繰り返して原因を掘り下げましょう」と教わったことがある方も多いでしょう。
例えば、
なぜ納期に遅れたのか。
↓
作業が終わらなかったから。
なぜ終わらなかったのか。
↓
優先順位付けを間違えたから。
なぜ間違えたのか。
↓
担当者の認識が不足していたから。
ここで分析を終えてしまうケースも少なくありません。
しかし、この結論では対策が「もっと気をつける」「しっかり確認する」になってしまいます。
実はこれは、根本原因分析で陥りやすい失敗です。
人は誰でもミスをするので注意力や意識を改善することは必要ですが、それだけでは再発防止にはなりません。
■ 問題解決が「犯人探し」になると失敗する
問題が起きたとき、多くの組織では無意識に「誰が悪かったのか」を探そうとします。
すると議論の中心は、
・担当者の経験不足
・確認不足
・意識不足
になりがちです。
しかし、本当に考えるべきなのはそこではありません。
例えば、複数人が同じミスを繰り返しているのであれば、それは個人の問題ではなく仕組みの問題かもしれません。
ベテランでも新人でも起きるのであれば、業務フローに無理があるのかもしれません。
忙しい時期に集中して発生するのであれば、人員配置や業務量の問題かもしれません。
つまり、「誰が悪かったか」ではなく、「なぜその問題が起きやすい状態だったのか」
を考える必要があります。
■ 優れた管理職は、人ではなく仕組みを見る
課題解決が上手い人には共通点があります。
それは、原因を個人の資質ではなく、仕組みや環境に求めることです。
例えば、「確認不足だった」という事象に対しても、
・確認する時間が確保されていたか
・確認手順が明確だったか
・誰が見ても分かる仕組みだったか
・ダブルチェックが機能していたか
という視点で考えます。
すると対策も、「気をつける」から、「ミスが起きにくい仕組みをつくる」へ変わります。
■ 根本課題解決とは、視点を一段上げること
目の前で起きた問題は、あくまで結果です。
本当に向き合うべきなのは、その結果を生み出した原因です。
さらに言えば、その原因を生み出した仕組みや環境です。
だからこそ、問題が起きたときは一度立ち止まり、「誰のせいか」ではなく、「なぜ起きたのか」を考えてみる。
そして、「この問題を繰り返さないためには、どんな仕組みが必要か」まで視点を広げてみる。
それが根本課題解決の第一歩です。
問題が起きることをゼロにするのは難しいかもしれません。
しかし、同じ問題を何度も繰り返す組織と、再発を減らしていく組織の違いは、「誰が悪いか」を考えるか、「なぜ起きたか」を考えるかの違いから始まります。