2026.07.03

衝突がある。それは、チームが成長している証かもしれない。

―― リーダーが知っておきたい「混乱期」の意味

新しいプロジェクトが始まった。

メンバーも前向きで、スタートは順調だった。

ところが数週間もすると、

「私は違う考えです」とメンバーから反対意見がでる

メンバーによってやり方がバラバラになってくる

メンバー同士の意見がぶつかることが増えてくる

そんな状況になり、「このチームは大丈夫だろうか」と不安になるリーダーは少なくありません。

しかし、その状態は本当に失敗なのでしょうか。

実は、多くの優れたチームも、同じような時期を経験しています。

■ 「良いチーム」は、最初から存在しない

私たちは、成果を出しているチームを見ると、「最初からチームワークが良かった」と思いがちです。

しかし実際は、その裏で何度も意見をぶつけ合い、役割を確認し、お互いを理解する時間を過ごしています。

チームの成長過程を表した「タックマンモデル」でも、チームは形成された後に必ずと言ってよいほど「混乱期」を迎えるとされています。

価値観が違う。

仕事の進め方が違う。

期待していることが違う。

だからこそ、衝突やすれ違いが起きるのです。

つまり、混乱は異常ではなく、ごく自然な成長過程なのです。

■ リーダーほど、この時期に焦ってしまう

問題は、混乱そのものではありません。

リーダーが、「何とか早く元に戻さなければ。」と思ってしまうことです。

議論が長くなる前にまとめてしまう。

対立しそうな話題を避ける。

全員が納得していなくても、とりあえず結論を出す。

もちろん、その場は落ち着きます。

しかし、本音が表に出ないままでは、お互いを理解する機会も失われます。

結果として、「言われたことだけをやるチーム」になってしまうことも少なくありません。

■ 混乱期を知っているだけで、リーダーは慌てなくなる

タックマンモデルの価値は、「形成期」「混乱期」「統一期」といった言葉を覚えることではありません。

本当の価値は、「今の状態は、成長の途中なのだ」と理解できることにあります。

そう考えられるだけで、「このチームはダメなのではないか。」という不安が、「今は必要なプロセスなのだ。」という見方に変わります。

すると、リーダーの行動も変わります。

意見の違いを止めるのではなく、安心して話し合える場をつくる。

早く答えを出すことよりも、お互いの考えを理解する時間を大切にする。

メンバー同士が対立することではなく、その対立をどう乗り越えるかを支援する。

そんな関わり方ができるようになります。

■ チームビルディングとは、「うまくいく方法」を教えることではない

チームビルディングというと、コミュニケーションや信頼関係づくりを思い浮かべる方も多いでしょう。

もちろん、それらは大切です。

しかし、その前に知っておきたいのは、「チームは段階を踏んで成長するもの」という事実です。

そのことを知っているだけで、目の前の混乱に振り回されなくなります。

そして、チームを「今、どの段階にいるのか」という視点で見られるようになります。

■ 良いリーダーは、混乱を恐れない

チームがぶつかることを恐れない。

意見が違うことを失敗だと決めつけない。

今は成長の途中なのだと信じて、対話を支える。

それができるリーダーのもとでは、チームは少しずつ信頼関係を築き、本来の力を発揮していきます。

だから、もし今あなたのチームが思うようにまとまっていないとしても、必要以上に焦る必要はありません。

大切なのは、「混乱があるかどうか」ではなく、その混乱を成長につなげられるかどうか。

チームビルディングとは、チームを早く完成させることではありません。

一人ひとりが安心して意見を交わしながら、少しずつ強いチームへ育っていく、その過程を支えることなのです。